qoheleth

 空と救済

いちおう、大乗仏教の空についての結論部分。 それでは、一切が空であることは大乗仏教におけるいわゆる救済とどのように結び付いているのだろうか。 人の迷いとは、その行為に伴われた煩悩から引き起こされると仏教は考えている。そして、仏教における救済…

 空と縁起と無自性

縁起と無自性の関係について、これまでの議論を中村は次のようにまとめている。 「『中論』によると、一切のものの関係は決して各自独存孤立ではなくて相依相資であるというのである(引用者注:つまり相互依存)。一切の事物は相互に限定し合う無限の相関関…

 空とは無自性である

大乗仏教における空についての議論、その2。 それでは、「無自性」とはどういう意味であろうか。 「無自性」とは「実体をもたない」という意味である。ここで言う実体とは次のように定義される。 「実体とは、みずからの存在のために、いかなるほかのものを…

 空とは縁起なり

今日、空についての文章を書く。とりあえずアップ。ただし、まだまだ手を加えるべき点はあるし、充分に定義されていない部分も多い。第一校ということで。 空とは一体何を意味するのだろうか。 空は「無」や「虚無」を意味しない。つまり、空を主張すること…

 空の思想

今月は仏教(特に龍樹)の空の思想とコヘレトの空の思想について考える。後者は、すぐにかけるので、ほとんど心配していないが、前者が問題。 とり合えず、一冊、肝要な本を読み、今日、少しメモを取り出す。 龍樹の空の思想を理解するために、考えるべきこ…

 加藤周一の夕陽妄語

今日の朝日新聞の夕刊に加藤周一の夕陽妄語が記されていた。 一人の書籍編集者の死から始まり、死の持つインパクトについて語られている。 俚言に金持ちも金を墓場までは持っていけない、という。墓場の彼方には、自由市場も、「グローバリゼーション」もな…

 これで終わり

コヘレト、伝道の書、伝道者の書(どれでもいい)のテキストはこれで終わり。次は、「ゆるし」に関するシリーズを。

 死を見据えて神の賜物に生きる(伝道の書11:7-12:8)

いままで様々なアドバイスをわたしたちに投げてきたコヘレトは、その書の最後においても大切なことをわたしたちに語ろうとしています。大変有名な箇所でありながら、誤解されやすい箇所を共に考えてみましょう。I. 太陽の日とやみの日(11:7-8) 最後のアド…

 思慮深く、気前よく生きる(伝道の書11:1-6)

永遠に残る儲けを得ることができず、かつ将来について完全に予測できない人間がしあわせに生きるためにはどうすればいいのでしょうか。コヘレトは今までの議論を踏まえて、いくつかのアドバイスを11:1-6で読者に述べています。I. 喜びの機会をできる限り多く…

 死を覚えて、今を生きる(伝道の書9:1-10)

今まで見聞きし、語ってきた全ての現実を踏まえて、コヘレトはわたしたちに如何に生きるべきかを語りはじめています。コヘレトは、特に死の現実を踏まえた上で如何に生きるべきかをわたしたちに告げてくれています。I. 死の特徴:全てのものの違いを奪い取る…

 知恵に関する結論(伝道の書8:9-17)

6:10から知恵についての議論を進めていたコヘレトですが、8:9-17において知恵についての結論を述べています。それは同時に「生きている間に見いだすことができる良いものは(しあわせ)は何か」という疑問に対するコヘレトの答えでもあります。I. 不正のはび…

 知恵の限界を知る知者(伝道の書7:23-8:8)

コヘレトの知恵の探求は続きます。たとえそれが失敗に終わることがわかっていたとしても、コヘレトはわたしたちの代表として、本当にだめかどうか、確かめようとするのです。I. だれが知恵ある者となることができるだろうか(7:23-24) 最高の知恵と最大の富…

 知恵の限界と神をおそれること(伝道の書7:15-22)

知恵や正義は成功や繁栄を保証してくれるでしょうか。この疑問に対して、世界に起こっていることを注意深く観察しているコヘレトはひとつの指針をわたしたちに与えてくれています。I. 知恵と正義の限界 コヘレトは彼の回りに起こっている様々な出来事を観察…

 知恵の限界と神をおそれること(伝道の書7:15-22)

知恵や正義は成功や繁栄を保証してくれるでしょうか。この疑問に対して、世界に起こっていることを注意深く観察しているコヘレトはひとつの指針をわたしたちに与えてくれています。I. 知恵と正義の限界 コヘレトは彼の回りに起こっている様々な出来事を観察…

 知恵の力と脆弱性(伝道の書6:10-7:14)

これまでコヘレト(伝道者)は富とその限界について語ってきました。しかし、6:10より彼は目を知恵に転じ、その限界について論じはじめます。 I. 人の現実と疑問(6:10-12) まずコヘレトは6:10-12において、人間がどのような現実に生きているかを説明してい…

 欲望の悲劇(伝道の書5:8−6:9)

欲望に駆り立てられ、さらに多くの富を求めてあくせく働いている人々がコヘレトのまわりには多くいたようです。いや、彼自身もそうであったのかもしれません。しかし、コヘレトは富を追い求める欲望がどのような悲劇を人にもたらすのかを、冷静に見つめてい…

 神をおそれる(伝道の書5:1-7)

これまでコヘレトは社会における様々な経済活動についての意見を述べてきました。しかし、5:1-7では目をエルサレムの神殿に置ける礼拝に向けています。全権者である神と直接に対峙する神殿において、人はどの姿勢で神に向かい合えばいいのでしょうか。I. 神…

 不公平と競争心に満ちる社会(伝道の書3:16-4:16)

コヘレト(伝道者)は、注意深く彼の住む社会を観察しています。コヘレトの時代には金銭による経済活動が活発になったため、一獲千金の夢も実現可能となりました。そのため、多くの人が富の獲得を追い求め続けました。その一方で、富の獲得の競争において失…

 リズムの揺らぐ世界(伝道の書3:1-15)

「いつまでも残る儲け」を求めてコヘレトは王として、最高の知者として、最高の富豪として労苦しました。しかし、いつまでも残る儲けを得ることもできないこと、さらに何一つ彼の思うようにはならないことに彼は気がつきました。ただ、時と共に過ぎ去ってい…

 王の失敗(伝道の書2:12-26)

いつまでも残る儲けが存在するか否かを確かめるため、コヘレトは王として、最高の知者として、そして最大の富を獲得した者として探求を続けました。しかし、2:11で「日の下に儲けはない」と儲けを獲得することに失敗したと告白しています。なぜ、権力者、知…

 王の挑戦(伝道の書1:12-2:11)

コヘレト(伝道者)は「地上で生きている間に一生懸命働くことによって得ることのできる儲けは何か」という質問を投げかけています。ここで言う「儲け」とは「いつまでも続く儲け」であって、すぐに消えてしまうようなものではありません。コヘレトが投げか…

 同じことを繰り返し、変化のない世界(伝道の書1:1-11)

人はどのように生きていけばいいのでしょうか。何を目的にして生きていけばいいのでしょうか。そのような質問に対する答えを伝道の書はわたしたちに与えてくれます。あまり一般的ではない聖書の書ですが、しばらく共に学び、考えてみたいと思います。 I. 伝…