日本はなぜ開戦に踏み切ったか

日本はなぜ開戦に踏み切ったか―「両論併記」と「非決定」 (新潮選書)

日本はなぜ開戦に踏み切ったか―「両論併記」と「非決定」 (新潮選書)

 日本人論(というか、日本文化の共同体論)の香りがする開戦への道についての論述。
 両論併記と非(避)決定が、最悪の選択をしてしまった、という議論。
 興味深く覚えた点は数多くあるが、実は強いリーダーの欠如こそが日本を戦争へと追いやったというニュアンスが書かれている。戦争という選択が、どう考えても最悪の選択であるにもかかわらず、両論併記と避決定を繰り返すことしかできなかった、強力なリーダーなき指導者たちが、開戦を選んだ様が描かれている。
 全体主義ヒットラー、というイメージで物事をとらえるが、日本の文化(共同体のかかわりの点においてはひょっとしたらあの時代と変わってないのかもしれない_では、現代の、決められない指導者たちの存在が、実は物事を採択の選択へと導いていくのかもしれない。明治維新後、73年経て、太平洋戦争が始まった。太平洋戦争が終わって、2013年で68年。混乱の時期直後に登場した偉大な人物が消えていく同じ時代に生きているのかもしれない。心配。