旧約聖書と新約聖書

旧約聖書と新約聖書 (シリーズ神学への船出)

旧約聖書と新約聖書 (シリーズ神学への船出)

 昔、インタープリテイションという雑誌の飜訳をしたとき、この本の著者が編集者であったので、すこしお世話になったことを覚えている。その方の本。旧約聖書新約聖書の入門書であるが、あきらかにキリスト教に批判的な立場から書いている。
 残念なことは、批判しているキリスト教、聖書が、かなり「単純明快な」キリスト教、聖書である点。キリスト者であり、聖書学者であるものとすると、キリストの十字架は「罪の身代わり」だけではないし、聖書には暴力性もあるが、反暴力性もある。もちろん、歴史の中で、キリスト教はいろいろと問題行動をしてきたが、それほど単純ではない。そのあたりの単純明快さにむしろ近代思想を感じる。