ATA(アジア神学協議会)第二日

 朝、7時過ぎに朝食。食事は大変より。オムレツなどの卵料理はその場で作ってくれる。さすがに食べ過ぎのような気がして、作ってはもらわなかった。
 そのあと、8時過ぎにバスでホテルからChina Graduate School of Theology(中国神学大学院)へ。やっぱり、バスの運転はかなり荒っぽい。というか、そんな風に感じる自分が日本人だ。
 


 
 まず、礼拝と聖書の学びのとき。韓国のSteven Changという若手の新約学の教授がコロサイ書から。コロサイ書全体を鳥瞰するということで、キリストが創造の中心であり、あらゆる関係の中心である、ということ。そして、ATAの将来は、このイエスをただ無条件で礼拝するならば、他の問題は落ち着くべき所に落ち着く、ということ。
 続いて、ATAの歴史。まず、Bruce Nichollsのイントロ。「どこからわれわれは来たのか。どこにわれわれはいるのか。そして、どこへわれわれは行くのか」という三つの質問を繰り返し考えることこそ大切だ、という導入。ということで、「どこからわれわれが来たか」についてのセッションがBong Roによりもたれる。1970年にOMFの宣教師としてシンガポールのDiscipleship Training Centerに着任したことから彼のATAとの関わりが始まったこと。アジア諸国を回る中で、文化脈化の問題と福音派の神学校の質の問題に行き着き、学位認定組織としてのATAを1975年に始め、1990年には67校が、2010年には141校が加わったこと。さらに、『アジアでアジア人を整える』というポリシーで、いくつかの神学校が協力して、Asia Graduate School of Theologyという大学院レベルの学位を出す組織を立ち上げたこと。ATAによる出版と拡大教育のことなど。そして、最後に、彼の生涯のメッセージがガラテヤ2:20であると言っていた。そして、「神学校は宣教的でなければならない」と閉じる。納得。


 
 続いて、インドのKen Gnanakanが短くATAが「静的」な組織ではなく、絶えず前に進み続けるダイナミックな組織であるべきことを。最後に、現在の中心的な働き人であるJoseph ShaoがATAがマニラで一つの組織として登録したこと、そして神学校における教官教育と図書館の重要性を話す。
 最後に、Bruce Nichollsが、市井の信徒こそが、21世紀の伝道者であると語る。
 
 とりあえず、ティー・ブレイクの後、午前2のセッション。正木先生が「アジアの教会が直面する新しい神学的なチャレンジ」について。広大で、多様なアジアにおいて大切なのが、文化脈化、それも聖書のテキストから文化のコンテキストへ向かう、Bong Roによって提案されている方向の文化脈化が大切だということ。そして、アジアは西洋の神学と「対決」するのではなく、その過ちや成功から「学習する」ことの大切さを語る。それと、多元主義社会で、イエスの主であることを認めつつ、よき市民として国家とどのように向き合うのかの大切さが語られた。
 あと、苦難の神学の必要性(ああ、ルーテル派)の重要性。健康と富を保証する福音ではなく、苦難の意味を考える神学が必要だ、という論点。苦難をよいものと認めるのではなく、苦難の意味を深く考える神学を。
 正木先生のあとBenjamin Pwee。現在の問題への解答が、将来の世代に本当に必要なのか、を考えさせる。現代の問題としてのポストモダニズム多元主義、資本主義と経済問題、繁栄と富、政治的関与、家族・結婚・若者、性差。はたして現代の問題に対して、わたしたちは本当に対応しているだろうか、という問いかけがある。つづいて、これからのことを考える時に、聖書を「真理」として読むこと、それぞれの文脈の中で福音を解釈すること、標準的な神学を構築していくこと、そして時代と文化にふさわしい牧師の働きを定義することの必要性がある。
 だからこそ、聖書の権威、イエス・キリストの中心性、宣教を中心とした神学、愛が中心であるという基本を捉えなおし、スーパー・メトロポリス、都市での貧困、開発地域、地方、家族と若者、解釈などについて取り組む必要がある。
 
 昼食後、ふたつのセッション。ひとつは神学教育において学生を評価することについて。われらの神学理解がクラスの評価にあらわされているかを考える。もうひとつは、紛争解決について。
 
 夜はATAの将来について、現在の総主事(general secretary)のDr. Shaoによる講演。FUTUREのアクロニムに従って語られる。Facing the challenges of the global village(グローバルな村である世界であるアジアでのチャレンジ、アジアの多様性に直面しつつ真理を創造的に、注意深く語る)。Understanding the Asian values and culters(アジアの価値観と文化を知り、それを喜ぶ。特に学校のアクレディテイションの関わりで到来するATAのグループを変化の触媒とし、他の学校との協力関係を築き、参加する)。Training Asians in Asia with global view(アジア人をアジアで訓練する。大学院であるAGSTの活用し、変化と一致の触媒となる)。Undergirding pastors and leaders with relevant and effective tools(牧師や指導者たちのために効果的な道具を提供する、訓練の機会や注解書などを通して)。Reclaiming the cultural and biblical mandates(宣教の働きが中心、そして霊的にも宣教的にも更新されるべき、そのために基本に帰る)。Exploring creative management and means to strengthen theological institutions(創造的に神学校を運営する、とくに参加型な学校を、アクレディテイションや図書館を通して)。Consolidate theological Institutions(町の人々の必要を知ること、そして他の神学校と共に働くことをめざして)。
 そのあとは、各国の紹介。Bruce Nicholls(ニュージーランド)のはちゃめちゃ、パプアニューギニアシンガポールのプレゼン、橋本先生の浴衣など、結構、めちゃくちゃでした。