アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)

 アメリカの現実をリポートした本。キリスト教根本主義者の矛盾、イラク戦争を含めたアメリカの戦争のひどさ、金融バブルと格差、政治の問題など、「アメリカ、ひどいなあ」という印象を持たせる本。
 私がよく知っているアメリカは10年ほど前のアメリカだから、いろいろと読んでみると、すこし違ってきている。そういえば、2005年に学会で渡米した時、そのあまりの物質主義的な姿に辟易したことを覚えている。ブッシュの八年間で大きく変わったのだろう。あと、比較的教養を持っているわたしの友人たちの感覚と、もっと庶民的で、深く考えていない人々の感覚の違いもあるだろう。私の知っている、そして関わりを持っているアメリカと、この本のアメリカとは結構違う。
 とはいえ、本書の最後の部分は、的確にアメリカのすごさを物語っている。

 それでもアメリカに希望がない訳じゃない。
 どこの国よりも激しく、その血を入れ替え続けているからだ。(252ページ)

オバマが大統領になる、ブッシュの任期がどん底まで落ち込む、変化をどんどん受け止めていく。日本は変われない、変わらない。そして、それゆえに「どうしようもない」。しかし、アメリカはすごい国だと思っている。二、三年後、どうなっているか、興味深い。