三文字の電報

 きょうの朝、ラジオを聴いていたら、南極観測隊に行った新婚の男性に、その妻から送られてきた三文字の電報のことを話していた。たった三文字、それは「あなた」だったらしい。そして、それを見た、南極の地にいた他の全てのクルーも感動したらそうだ。ネタはどこからかわからないが、なかなか考えさせられる。
 なぜ、この三文字の電報がその人の心を打つのだろうか。
 それは、たった三文字であるからこそ、それを読む人に、それぞれなりの思いを生み出すことができるからであると思う。つまり、「あなた」という三文字が、読者のイマジネーションを刺激し、それぞれがそのイマジネーションから、最も感動する場面を生み出すことができるからだろう。
 multivalent(多価な)ということばがあるが、multivalentなことばによって生み出されるイマジネーションが人を感動させる。逆に言えば、どれほど美しいことばでも、それが聞くひとのイマジネーションを刺激しないなら、なんの意味もないのかも知れない。