God's Word in Human Words

God's Word in Human Words: An Evangelical Appropriation of Critical Biblical Scholarship

God's Word in Human Words: An Evangelical Appropriation of Critical Biblical Scholarship

 いわゆる福音派と歴史的批評的研究について、progressive evangelicalの立場から著したもの。認識論的には、ポストモダンのpractical realism(マッキンタイアやガダマー、ポラーニ、リクルーなど)に立っている。批評学的には、歴史的批評的な研究の成果を受け容れつつ、「神のことば」としての聖書にどう取り組むのかを考えている。「神の語りは、人間の現実に適応している。つまり、いわゆる無誤のことばを語るのではなく、十分適切なことばで神は語っており、それを聞く人間も無誤の聞き手ではなく、十分適切に理解できる聞き手である」。「無誤性」に焦点をあてる福音派の考え方から離れて、「十分適切性」(?)に焦点を当てるように勧めている。さらに、完璧ではないが、十分に適切な聖書のことばを解釈するにあたり、創造の秩序と信仰告白に注目すべきを主張している。
 福音派が、「啓蒙主義」に侵されている事実を認識し、そこからの脱却を狙う本である。チャイルズのやり方は不十分だ、と批判はしているが、正典的アプローチに大変近いアプローチのような気がするのだが。