神戸市立小磯記念美術館

 切符をもらっていたので、小磯良平聖書のさし絵展を見に、小磯記念美術館へ。六甲アイランドにある神戸市立の美術館で、行くのは初めて。子どももいたので、あんまりゆっくり見てはいられなかったが、興味深かった。ちなみに、明後日の日曜日まで。
 今まで見てきた聖書をモチーフにした絵の多くは、いかにもイエス・キリストが中心だ、というような構図であった。しかし、今回見たものでイエスを主題としたものは、そういう訳ではなかった。よく見れば、どれがイエスであるかはわかるのだが、「いかにもイエス」というようなものがほとんどなかった。それでいて、よく考えられている構図だったなあ、と思う。たとえば、聖霊降臨の絵は、人々の集まりの真ん中が空白になっている。人が集められたものという教会理解があると同時に、その中心は目には見えない神であることが示されているような気がした。また、最後の晩餐の絵では、その中心にあるのは、イエスの杯とそのぶどう酒の赤。十字架のモチーフを見いだすことができるように思える。
 小磯良平の長女の名前が「澤村嘉子」。戦後、一時、滝の茶屋の洋館に小磯一家が住んでいた。どこかで聞いたことだが、確か、澤村五郎の息子の嫁が、小磯良平の娘ではなかったか。澤村五郎のキリスト教入門の本の表紙は、小磯良平の絵だし。それから、小磯良平とわたしは高校が同窓であり、当然そこに、横溝正史も、妹尾河童もいる(これらの人と自分を同列に扱うのがいいかどうかは別として)。なんとなく、関わりの深さを思う。
 あと、口語訳の新約聖書の表紙が、小磯良平作であることに、今日、初めて気がついた。ギリシア語が書かれている、小型版の聖書である。
 そのあと、今度は神戸の西の端の多聞台まで車で走って、びっくりドンキーへ。娘が獲得した1,000円券で夕食。