間違った選択

 いろいろな出来事、そして自分の事を含めて考えた時、「ひとはなぜ間違った選択をするのか」という問題が浮かび上がってくる。もちろん、選択を行っている本人は、全く間違った選択をしているとは思ってはいない。しかし、当人ではないだれかが、横から見ている時、明らかに間違った選択をしているのがわかる場合がある。他の人と比べて、その結果、落ち込んでいるのに、今度は他の人と比べてそれよりもよいと評価されたからと、喜んでいる人。自分がこれまで非難し続けてきた人と全く同じ行動を選択する人。前者は、「他者の評価にこだわるからアップダウンがあるんだ」と言いたいし、後者は、「あなたが非難してきた人も今のあなたと同じ事を感じているのかもしれない」、または「結局、かっこいい事を言っているけど、口だけじゃない」。あきらかに間違った選択を行っている。傍から見るとわかる。しかし、本人はそれしか選択できないでいる。
 どうしたらいいのだろうか。どうしてあげたらいいのだろうか。その間違いを指摘するのは簡単であるが、それでもどこにも進まない。もちろん、自分自身も同じような事をするのだろう。傍から見たら、明らかに間違っている選択を、それしかないといって選んでしまうのだろう。
 社会心理学の知見によると、他人の行動に対してはその原因がその人自身にあると考える一方で、自分の行動に関してはその原因がまわりにあると考えるらしい。つまり、何かあった時、すぐ人のせいにするのと、それを見て「人のせいにしている」と非難するのは、すごく当たり前らしい。本人は、間違った選択は「だれかのせい」だと思っているけれども、まわりは間違った選択は「その人のせい」と考えている。たぶん、現実は、もうすこし、複雑なんだろうが。