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The Quest for the Historical Israel: Debating Archaeology and the History of Early Israel (Archaeology & Biblical Studies)

The Quest for the Historical Israel: Debating Archaeology and the History of Early Israel (Archaeology & Biblical Studies)

 Israel Finkelstein(The Bible Unearthed: Archaeology's New Vision of Ancient Israel and the Origin of Its Sacred Textsなど)とAmihai Mazar(Archaeology of the Land of the Bible, Volume I: 10,000-586 B.C.E. (The Anchor Yale Bible Reference Library)など)がそれぞれの立場から、歴史的イスラエルについて議論している。どちらも考古学者なので、考古学の立場からいかに聖書と考古学知見から歴史的イスラエルを理解するかが記されている。立場としては、中央に立つ。つまり、全部、ヘレニズム時代の作り物だというミニマリストと考古学は聖書を証明しているというマキシマリストの間に立っている。特に、族長、出エジプト、征服あたりは、どちらも結構否定的な見解。これは考古学的に考えた結果。それ以降に関しては、結構、聖書には歴史的な記憶が残っていると理解しているMazarと、ヨシア時代の理解がかなりイデオロジカルにテキストに表れていると考えているFinkelsteinの違いがある。また、Mazarは、Iron IIAを結構、長くとっており(従来は1000-925だが、彼は980-840)、統一王国とオムリ王朝は考古学的に見ると同じ特徴である、という理解をしている。つまり、「大きな建造物はオムリ王朝による」(IIB)という見解に対して、「いや、統一王国の可能性も高い」(IIA)とMazarは議論しているわけだ。
 「イスラエルの歴史」を考える時、地域の考古学的発見、聖書のテキスト、古代中東の記録をどう評価するかが大きな問題となってくる。たぶん、どこでも議論を巻き起こすのが、聖書のテキストの歴史的信憑性の問題だろう。FinkelsteinもMazarも、メインラインの学者の中庸な理解に立っているが、よりMazarの方が、テキストには歴史的な記憶がしっかりと残っている、と考えているようだ。