おもてなしの経営学

おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書)

おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書)

 Life is Beautifulというブログの著者である中嶋聡氏の本。User Experienceを「おもてなし」と訳し、apple任天堂がどれほど顧客の「おもてなし」を考えて、製品を作っているか、ということを主張している。それに対して、ソニーなんかがもっている「エンジニアの美学」(CPUのコア数は6ではだめ、2のべき乗である8でないと美しくない)なんていう発想は製造コストもなにも考えてないと切り捨てている。
 あと面白いのは、「上を見て」仕事をする人(上司の顔色や直近の自分の損得だけで動く)と「天を見て」仕事をする人(お客様のためにいい仕事をする)の違い。日本の文化が、前者をどうしても強調してしまう弊害を指摘している。「上を見て」仕事をする人ばかりで、「天を見て」仕事をしている人がいない、「俺はこれを作りたいんだ」という気持ちを貫いて仕事をしている人が少ない、とぼやいている。
 経営学からいきなり教会論に飛ぶが、教会に来られる方、いや教会と関わる方への「おもてなし」をどれほど考えているだろうか。キリスト者は、未信者のUse Experienceを決めるUse Interface。キリスト者のおもてなしがどれほどなされているだろうか、と思わされる。また、「牧師の美学」みたいな変なものが、教会の働きを妨げているような気もする。それに、教団なんていう組織が、どうも「上を見て」働いている人ばかりのような気がする。マタイの言う意味で「天(つまり神)を見て」働いているか、考えさせられるなあ。
 本としては、対談なんかでは同じトピックが繰り返されているので、少しredundantだと思う。まあ、買ってしまった私も悪いのかなあ。