絶対音感 (新潮文庫)

絶対音感 (新潮文庫)

絶対音感 (新潮文庫)

 前から話題になっていた本をbookoffで105円で売っているのを見つけて買う。それで、夕方から夜にかけて一気読み。最初は絶対音感をもっている人、その教育、その長所や短所を書いている。でも、最後に向かって「音楽を奏でる」こととは一体何か、という内容に向かって進んでいる。つまり、音楽をするために絶対音感が絶対必要というわけではなく、むしろ「人生」といった実に漠然としたものが芸術が芸術であり続けるために必要なことが言いたいのだろう。「絶対音感」のみについて興味のある読者にとっては最後の方の章は無用に思えるが、著者はどうも「音楽する」ことについて考えたかった本のようである。タイトルはキャッチーだが、内容は芸術としての音楽についてか。
 そういえば、高校時代の吹奏楽部の友人が絶対音感なるものをもっていて、いろいろな音を出して、「これはなんだ」と言って遊んだことをふと思い出した。