自伝的説教論

友人が読んで良かったといっていた加藤常昭の自伝的説教論を昨日買い、夜、眠れなくなってしまったので、一機に最後まで読む。

自伝的説教論

自伝的説教論

彼のドイツ留学までの半生について書いたものだが、なかなかいい性格をしている人だ、と感じる。また、「どうしてあれだけ哲学的に、ややこしく物事を考えるのか」という疑問も、彼自身のおさない頃からの歩みを見て、何となく納得した。子どもの時から、思索的な存在だったよう。読みながら興味深く感じたのは、ボーレン、テゥールアイゼン、加藤常昭などが問題意識を感じ、取り組もうとしたことはChildsのcanonical approachが目指してきたことと大変よく似ている点。近代聖書学の発展による大学・神学校のアカデミズム化、そしてこれらの学校が教会を建てあげていくことのできない牧師しか生み出せなくなった状況の中で、いかにもう一度教会という文脈を取り戻すか、彼らは共に戦っているようだ。ドイツ、日本、アメリカの違いはあっても、みな長老派の流れにあり、バルトの神学に大きく影響されている人々であるという共通点もいろいろと考えさせられる。変な言い方だが、左から真ん中へ戻ってきた人々がこれらの長老派の学者達ではないだろうか。逆に右から真ん中へ動いている自分、敬虔派の流れにいきる自分はどうすべきなのか。考えさせられる。
次は彼の説教者論を読むつもり。
説教者を問う (説教塾ブックレット)

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