「フクシマ」論

「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか

「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか

 あちこちで取り扱われた原子力ムラ論。原子力関連の産業で働く人の現実に関するレポートそのものに目新しさはないんだろう。けれども、ポストコロニアルの視点から、原子力ムラは日本におけるひとつの植民地の誕生であるという主張をしているのは、おもしろい。原子力ムラにいる人自身が、原子力発電関連の産業によって地域がよくなっている、と理解し、自発的に中央のために犠牲を払っているからだ。そういう意味で、一番意義ある章は、補章なのだろう。