反貧困

反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)

反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)

 日本における貧困について、まとめてくれる本なので助かる。まあ、バイアスがあるが、それはどの本でも同じ。
 貧困ビジネスの問題で具体的に現れてきているが、今後は取り組むべき問題だと感じている。
 これを読みながら、都市化と東京への集中化が進んだ現在、給与所得によって生きることを選ぶ限りにおいて、必要なことだと感じつつ、「都市化」「給与所得」の逆を行こうとする社会を目ざすとき、また違った対応の方向性があるんだろうな、と感じた次第。
 それから、反貧困の最も大切なものは「溜め」の存在、という議論は納得がいく。都市化と村の解体と家族の破壊によって「溜め」がなくなってきた現実も現代の日本の都市における貧困の原因なんだろう。どの問題でもそうだろうが、より包括的な問題解決の方向性を見いだす必要がある。