家政婦のミタ

 家政婦のミタがいよいよ佳境に入ってきた。あと二回。
 ここまで見てきて、実に見事な人物配置をしているので、それをすこし拾い集めておく。
 まず阿須田一家。夫の不倫のゆえに入水自殺した妻、四人の子ども、生き残った夫。妻の家族は、姉の夫が好きな妹。妻に先だたれたが、再婚しなかった父。
 これに対照的なのが、三田一家。「おぼれかけた」灯を救おうとして死んだ「父」。夫に「先だたれ」、「再婚した」母。「姉を好きになった」「義理の弟」。「生き残った」妻(灯)。彼女は「自殺しようとする」が死ねなかった。妻と義理の弟の「複雑な関係」のために殺された灯の夫と息子。
 ここに阿須田の隣の一家が絡んでくる。「夫の不倫のゆえに」放火「自殺」しようとする妻。その時に、「殺されかけた夫と息子」。
 隣の一家は灯の家族と阿須田一家を反映している。阿須田一家と三田一家は、お互いを補い合うように寄り添っている。そして、三田灯が阿須田一家に関わることにより、この一家が再生され、阿須田一家が三田灯に寄り添うことによって(たぶん)三田に変化が起こる。
 それにしても、よくこれだけ関連づけながら、人物配置をするのだろうか。ストーリー以前の背景設定がこの物語の人気の秘訣かも知れない。