Invictus(インビクタス)


 見てきました。インビクタス映画の日なので1,000円。ちなみに昼食はすずめのうどん。金井家内と二人で1,020円。
 和解とゆるし。マンデラ南アフリカの大統領になってしようとしたことを、見事に描いている映画だと思う。モーガン・フリーマンもすごいが、マット・デイモンもすごい。
 気がついたシンボリックな点をいくつか。
 冒頭で貧しい黒人はサッカーを、裕福な白人はラグビーをしている。ところが、映画のおわりでは、黒人がラグビーをしている姿で終わっている。
 主人公の二人に脇を固めるグループは、マンデラのSPたちとラグビーチームのキャプテンの家族。SPたちは当初、黒人だけだが、マンデラが白人を加える。最初は、敵意丸出し。同じ車にも乗らなかった。ところが、マンデラとの関わりの中で、だんだん打ち解け合う。マンデラの朝の警備は黒人だけであったのが、黒人と白人のペアとなる。最後のほうでは、いっしょになってラグビーをし、最後の部分では、白人と黒人のSPがまざって車に乗っている。ラグビーチームのキャプテンの家族。アフリカーナ(白人)の両親と妻、そして黒人のメイド。最初はマンデラに対する敵意を丸出しにしており、メイドは隅に追いやられている。しかし、決勝のチケットが、黒人のメイドの分も用意され、いっしょに応援に行く。
 大きな転換は、二箇所。まず、ラグビーチームが黒人の地域に行き、そこでラグビーを教えるところ。彼らの態度が変わる。もうひとつ、インビクタスの詩をマンデラからもらったキャプテンが、ワールドカップ中に、全員をマンデラが収容されていた島へ連れて行く。そして、インビクタスの詩で、励まされているマンデラの姿を思い起こす。このあたりで、変わってくる。もちろん、唯一の黒人ラガーメンの活躍も否定できない。
 なにはともあれ、マンデラのすごいことは、自分たちがされたことをアフリカーナにはしない、という決意。それでは国が一つにならない。アフリカーナから彼らのものを奪い取ることなく、しかし、一つのなれるように、と働いている。それとともに、民主的なプロセスを重んじ、ラグビーチームの名前を変える決議を覆しに行き、多数決(12票差しかなかったそうだ)でなんとかもとにもどす。
 試合を通して、白人と黒人の融和もある。白人のドライバーと黒人の子どもが決勝戦をラジオで聞いている。最初は、黒人の子どもを邪魔者扱いするが、次第にいっしょに聞きいるようになり、最後は抱き合って喜び合う。それは、試合後のSPたちの間、SPと観衆の間にも起こる。しかし、全部がうまくいくわけではない。スポーツバーで聞いていた人たちは白人がほとんど。貧しい町の一室に集まって聞いていた黒人たち。貧富の差と分離は残る。けれども、なにかが起こった。
 ホルストの惑星から木星の有名なメロディーがテーマソングになっていた。へえ、こんなところで使われているのか、と感心。ついでに、サッカーの「オレ・オレ・オレ・オレ」がラグビーで歌われていたとは。
 高校の体育の授業でラグビーがあったので、ラグビーのルールや得点のしかたがわかっていた。だから、解説なしの映像だけでも、十分に楽しめた。ラグビーのルール(フィールドゴールやペナルティーゴールは3点で、トライが4点、トライしたらフィールドゴールをすることができる点など)知っていると、解説なしのラグビー映像がよく分かる。

 Invictusの詩の訳を。もとはここ

インビクタス−負けざる者たち−
ウィリアム・アーネスト・ヘンリー
 
私を覆う漆黒の夜
鉄格子にひそむ奈落の闇
私はあらゆる神に感謝する
我が魂が征服されぬことを
 
無惨な状況においてさえ
私はひるみも叫びもしなかった
運命に打ちのめされ
血を流しても
決して屈服はしない
 
激しい怒りと涙の彼方に
恐ろしい死が浮かび上がる
だが、長きにわたる脅しを受けてなお
私は何ひとつ恐れはしない
 
門がいかに狭かろうと
いかなる罰に苦しめられようと
私が我が運命の支配者
私が我が魂の指揮官なのだ