営業力

 二件の引っ越し業者の見積もりを取る。一つは神戸市を中心とした業者。もう一つは全国展開している業者。
 営業力としては、圧倒的に神戸市に本社を置く中小の会社の勝ち。その理由をいくつか。まず、全体を見て、計算もせず、すぐに六トン分の自動車が必要であること言う。もう一つの業者の営業も、一生懸命計算して、六トンと割り出していた。しかし、時間が全然違う。これまでの見積もり経験の数の圧倒的な違いを思い知らせられた(とはいえ、すごい営業さんは、六年目だと言っていたが)。
 二つ目は、観察力。中小会社の営業さんは、私が牧師であること、前に使った業者がホウワであることを、一瞬のうちに見抜く。後者の人は、残念ながら私に言われるまで分からなかった。
 三つ目は、動揺しない力。全国展開の業者の営業さんは、最初は「当然、自分の所を使ってくれる」と思って話を進めてきた。ところが、途中で、「合い見積もり」の必要性を言うと、一瞬、手が止まり、「まずい」という雰囲気が現れた。動揺しているのがありあり。こちらも、それなりに交渉する必要があるので、いろいろと手を使う(ずるい手は使わない、けれど、合い見積もりをすることを言うだけで、どこの業者と比べるかは言わないし、何番目かも言わない)。完全に、全国展開の業者の営業は、駆け引きできない状況に追い込まれてしまっていた。
 結局、営業は、人相手の仕事。牧師もそうだと思う。経験から生み出される正確なカン、注意深い観察、様々な状況を予測して、備える力。これは、人相手に仕事をする人に、いつも要求されるものなのかもしれない。ちなみに、値引きの交渉は、うまいぞ、わたし。