ドラマの世界

 春のドラマを見ていて、やくざ関係者の係わりのある二つの連ドラの結論が大きく異なることに気がついた。二つのドラマとはスマイルと白い春。前者は、フィリピン人とのハーフである主人公が殺人を犯し、死刑判決を受けたが、最終的には再審され、懲役8年程度で出所してきて、ハッピーエンド。後者は、やくざが殺人の結果、懲役をくらい、出所した時、自分の娘と出会うという話。最後は、娘を育てた親をかばって、彼は殺される。ある意味で、悲しい終わり。
 ただ、白い春の終わりは、ナラティヴの性質から言うと、当然と考えられる。二人の父(血のつながった父と育ての父)の間で、娘は緊張感ある状況にある。このままでは、終わらない。どちらかが消えなければ、緊張感が切れず、終わりを迎えられない。そこで、血のつながった父が自分のいのちを犠牲にすることによって、みながよい人になって終わる。ある意味で、唯一の自然な終わりである。
 スマイルの方は、主人公が死刑で死ぬことも可能だろう。しかし、ひとつ残った緊張感は、主人公と主人公が愛していた女性の関係が修復されていないということ。ところが、最終回の最後の最後で、関係が修復され、主人公は死刑を避けたくなる。そうなると、すっきりする終わりは、死刑が覆されるということ。
 緊張感がどのように解決に向かうのか、それを考えれば、ある程度、終わりは想像できる。ナラティヴのもつ特徴を理解すればいい。
 
 そういえば、Bossの最終回はそれなりにおもしろかったが、なんとMr.Brainの最終エピソードも同じ要素をもっている。まあ、どちらもCSIの焼き直しなんだろうが、テロリスト、高官、警察官の関与の可能性、主人公のアメリカ行き、と同じ要素が入っている。う〜ん、ドラマの危機が言われているが、ドラマを制作する側の想像力の欠如が問題なのかもしれない。