思考停止の危険性

 新型インフルエンザに感染した人の発見が遅れ、かなり大きく広がった原因のひとつに「海外渡航歴の有無」にこだわった点がある。A型のインフルエンザであるとわかっても、海外渡航歴がない人のインフルエンザは「季節性である」と判断してしまったので、しばらく放置されてしまった。多くの人が、「なぜこの季節に、季節性のインフルエンザがこれだけはやっているのか」と疑問を思わなかった。ある意味で、思考停止を行ってしまったのだ。
 「海外渡航歴の有無にこだわった点」は、「水際対策に焦点を当てすぎた点」とも重なる。多くの人が、「水際対策でなんとかなる」と思っていたのだろうか。絶対、抜けてくる、と思うべきだったのに。
 あれだけ多くの人がゴールデンウィークに海外にいくのだ。必ず、誰かがインフルエンザをもらってくる。だから、ゴールデンウィーク後には、流行が起こる可能性がある。こんな風に思う人があんまりいなかったのが、疑問。特に、学校の先生は、そのあたりを疑問に思わなかったのだろうか。
 人を批判するのは簡単だ。しかし、いつも思考停止の危険性がある。いろいろな可能性を考え、Question everythingという批評的なスタンスを忘れてはいけないのだろう。