聖書の解釈と正典

聖書の解釈と正典―開かれた「読み」を目指して

聖書の解釈と正典―開かれた「読み」を目指して

 関西学院大学に所属する聖書学者たちが聖書の解釈学と正典について、四回のフォーラムで話した内容が本となっている。出版は昨年の春なので、1年以上、気がつかないでほったらかしになっていた本である。さらっとと今日一日で読み終える。
 聖書解釈の諸問題について、また正典の意義について、すこしだけだけど考えてきている者にとっては、物足りない気がする。内的読者と内的著者の理解についても、十分に突っ込まれていないし、すこし曖昧である。また、「解釈」と現代への「適用」についても、区別が曖昧である。また、文芸的解釈も述べられているが、どこまでが「テキスト中心」の解釈であるのか、どこからが「読者中心」の解釈であるのか、厳密な定義がなされていないように感じる。文芸的解釈ではあるが、実際の方法論は、reader responseである(もちろん、厳密に言うならば、reader responseでない聖書のテキストの解釈はない)。
 このあたりの内容について、この本の発想と関わらせながら、日本語で書く必要があるのかもしれない。信条の枠組みの問題があるのだろう。しかし、聖書の解釈と正典の問題は、大切である。