疑似科学入門

疑似科学入門 (岩波新書)

疑似科学入門 (岩波新書)

 科学的のように思えて(思わせて)、科学的でない、そんな様々なことを批判的に書いた本。占い系、超科学系の第一種疑似科学、科学扱いをするようでその実体のない(ゲルマニウムマイナスイオン)の第二種疑似科学。そして、複雑系のゆえに、簡単に因果関係が断定できない第三種疑似科学。科学的思考が十分に発達せず、ポピュラーな意見、テレビや宣伝にだまされて(これらがまたなんとなく科学的に言うのだ)いく、数多くの人たちが読むべき本(うちの奥さんもそうだ)。
 疑似科学は決してすたれないから、正しく疑う心を育てよ、というのは、クリティカル・シンキングの重要性を訴えているようにも思える。結構、「お任せ」的なシャーマニズムに日本人は陥り、ポピュラリズムへ流れてしまう。
 興味深いのは、科学者に関する次の一言。

一般に、科学者は疑り(ママ)深いから直ちに結論を出すことを避ける。明らかな証拠がないと、さまざまな可能性を考えてしまい、歯切れが悪くなるのだ。真実に忠実な科学者であるほどその傾向が強い。(189)

こりゃ、わたしの物事に対応する態度である。その歯切れの悪さのゆえに、いやがる人もいるのだが。でも、歯切れの悪いままで、がんばっていきたいなあ。