冠婚葬祭のひみつ

冠婚葬祭のひみつ (岩波新書)

冠婚葬祭のひみつ (岩波新書)

 冠婚葬祭シリーズ、第二弾。
 書評を書かせれば天下一品の斎藤美奈子が冠婚葬祭のマニュアルを読破して、書いた本。
 主に、結婚式と葬式についてであるが、結構、結婚式についての話が多い。
 現代日本社会で一般的とされている葬式の仕様が、結構、最近のことであること。「〜家代々の墓」などは戦後の代物であり、太平洋戦争における戦死者の骨が手に入らなかったことから「お骨」を大切にするようになった、など、結構、興味深い。
 本来の目的は、葬儀についての歴史と意味について理解を深めることなのだが、やはり「寺請け制度」が葬式仏教の始まりであることがわかる。さらに、葬儀は本来は村落共同体のものであったこと、仏教寺院の経済的基盤に葬儀と法要があることなど、「世間一般」を求める姿が、どれだけ商業主義の毒に染まっているかがよくわかる。
 キリスト教の葬儀も、考えないと。