Evil and the Justice of God

Evil And the Justice of God

Evil And the Justice of God

 SBLで買ってきた本のうち、最初に読み上げたもの。悪の問題について、聖書的に取り組んでいる。別の見方をすれば、Tom Wrightの理解する聖書のグランド・ナラティブに則って、悪の問題をどう捉えるか、という本。イエスの十字架の場面に、あらゆる側面の悪のクライマックスがあり、悪に対する神の解決法のクライマックスがある、という点はなるほど、と思わせる。さらに、終末論的に見るならば、終わりの日には、「悪を行った者をゆるすことができない」という人のうちに深く残る痛みさえも癒され、「悪を行った者をゆるし、受け入れることができる」という理解を提示している点は特筆に値する。終わりの日を先んじて生きようとしてるクリスチャンに対して、良い意味で、警鐘を鳴らしている。
 ちなみに、やっぱり「ゆるし」に関する理解においては、Exclusion and Embrace: A Theological Exploration of Identity, Otherness, and Reconciliationを重用している点は、なるほど、と思う。Volfのゆるし理解の深さを考えさせられる。
 それにしても、私の選ぶ本に関して見ると、同じ本を他の人が載せてるケースが大変少ない。まあ、かなりかたよったリストだからしかたはないが。