一六世紀文化革命 2

一六世紀文化革命 2

一六世紀文化革命 2

 やっと読了。各論は少しかったるかったけれども、最後の16世紀のことばの発展にと16世紀文化革命から17世紀科学革命への移り変わりの部分は結構興味深かった。
 興味を持った点の一つ目は、ラテン語支配によるエリート意識の構築とその崩壊に関する考え方。同時に、ラテン語によってある一定のエリートは「国際的な交流」ができた点も見逃せない。だから、カルヴィンはラテン語で綱要を書き、その後、フランス語に翻訳したわけだ。
 もう一つは、自然に対する意識の変化。16世紀は、まだあくまで人間は自然の下に位置し、「自然の力を利用する」という発想であった。ところが、17世紀の科学革命の時代、知識人たちは、自然を自分の思い通りに使うという発想を持つようになり、人間が自然の上に位置しはじめた。自然への畏れが消えたのが17世紀ということなわけだ。
 かつて、18世紀から19世紀にかけての産業革命の時代、人々の自然に対する意識が変化したのではないか、ということを言っていた教授がいたが、それは17世紀であるという主張な訳だ。すると、17世紀の聖書解釈における自然理解は16世紀のそれとは少し違うのかもしれない。カルヴィンやルターは16世紀の人だから、17世紀はだれなのだろうか。すこし考えてみても面白い。そう言えば、16世紀は正統主義と敬虔主義の時代でした。