一六世紀文化革命 1

一六世紀文化革命 1

一六世紀文化革命 1

 先日から読みはじめていたこの本(二巻のうちの一巻)を読了。
 16世紀のヨーロッパ、ということで、宗教改革とどのようにシンクロするのか、興味が合って買ってみた。細かい所まで追求する気はないが、結構、考えさせられる。
 芸術家(デューラーダ・ヴィンチ)に始まり、外科医、解剖学、植物学、冶金術、商業数学が取り扱われている。印刷技術の発達による図表の一般化、さらにはラテン語ではなく母国語による出版が大きな影響を及ぼしている(数学なんかは、概念的なものよりも、商業、つまり金もうけと正確な秤)。そして、特権階級が独占していた知識が一般化され、特権階級が歪めて継承していた知識が実物の正確な描写によって訂正されていった姿を見る。
 そう考えると、宗教改革も、聖書の母国語化という点、そしてカトリック教会による知識の独占の終焉という点で、共通するのだろう。宗教改革の三つの原則、「信仰のみ」「聖書のみ」「万人祭司」のうち、「万人祭司」の重要性と、聖書のみを可能とする「母国語によって聖書を読むことの一般化」が画期的であった点に思いを馳せる。
 さて、後半はどうなるのだろうか。