北方領土「特命交渉」

北方領土「特命交渉」

北方領土「特命交渉」

 鈴木宗男の書いた本を読むようになるとは思いもしていなかった。しかし、予想外に彼はしっかりした考え方の持ち主のように書かれている。日本ほど官僚制度が発達した国において、「政治主導」という名目の下に政治家がいろいろと口出しし、スタンドプレーをする。ところが、結局は今まで官僚たちが培ってきたものを全く無駄にしてしまう可能性がある。
 一般市民は「官僚制度」に弊害を見いだし、それを変えてくれそうな政治家を求める。小泉などがそのいい例。ただ、そこにたいへんな問題がある、ということに気づいていないのだろう。「日本人の文盲率は5%」という皮肉の表現を佐藤優が使う気持ちもわかる。本来必要なリーダーとは、官僚の力を最大限に発揮し、過去の積み重ねを十分に尊重し、将来への明確なビジョンをもって進んでいく人なのだろう。はたして日本の政治家にそのような人はいるのだろうか。政治の世界だけではなく、キリスト教の世界でも同じことが言えそうだが。