心でっかちな日本人―集団主義文化という幻想

心でっかちな日本人―集団主義文化という幻想

心でっかちな日本人―集団主義文化という幻想

 朝日新聞の論説に引用されていた著者の本を買って読む。中古なので、安かった。
 日本が集団主義であるという幻想に対しての批判の書。内集団ひいきという原則による相補均衡によって成り立っているシステムという発想から日本文化を考えている。特に考えさせられるのは、人の行動を「心」の問題として内在化するのではなく、社会心理学の観点から「他者とどう関わるか」という問題から考えている点。並行すれば、人の心の変化を強調するキリスト教から、人が他者とどうかかわるかを考えるキリスト教への発想の転換を求められる。最後に、「弱さの強さ」、つまり自らがvulnerbleになることにより、信頼を勝ち得ていく発想の重要性の提案は、これもまたキリスト者共同体をどのように構築していくべきか、深い示唆がある。