The Da Vinci Code (Robert Langdon)

The Da Vinci Code (Robert Langdon)

The Da Vinci Code (Robert Langdon)

 昨日、読了。足掛け二日、実質一日に起こった出来事を描いた小説。サスペンスとして読めば、それなりに面白い。更に、映像化を最初から考えていたような作りで、ルーブルからパリ市街地、ベルサイユ近郊、ロンドン、最後はスコットランドとめぐるましい動きも面白い。従って、あくまでフィクションです、で終わっておけば、「面白かったね」ですむ。
 ところが最大の問題点は、どう考えても立証できない点を「真実」または「事実」として訴えているところ。けれど、逆に言えば、そんな内容だから大いに売れたのだろうけれども。でも、Harvard Universityの教授であるLangdonが、結構はったりを「歴史的事実」として語っている点が、「うそっ」と思える点。まあ、ハーバードの教授や女王から爵位をたまわった歴史学者ルーブル館長が支持している、というレトリックを用いて、いかにも信憑性があるかのように、語っているのも作者の作戦ではあるだろう。
 はったりは思い込みはたくさんあるだろうし、保守的な生き方、特にカトリックの現体制や「オバス・デイ」を批判している点はいただけない。言い過ぎ。ダ・ヴィンチについての理解は勝手にしてもらっても言いけれども、新約正典の問題、ニカイヤ会議、キリストの神性の問題に関しては、全くの事実無根の思い込み。このあたりについてはhttp://d.hatena.ne.jp/jyunrei/20060531が適切な指摘をしている。